★★★★★ |
1998年5月20日 初版発行 |
のらねこの『オイラ』が覗き見た人間の暮し。その中から、妙な、不思議な、ちょいっと気味が悪くもある話、4編が収められている。でも、その4編はいずれも、ちょいといい話なのだ。覗き見している猫の『オイラ』が、悪ぶっていても、実は心やさしい猫だから、その『オイラ』の目を通して語られる人間の話にも、優しさが滲み出ている。 ストーリーについては読んでのお楽しみ。とにかく、作者の発想と文章力がきらきら光る。う〜ん、と唸るほど素晴らしい。『オイラ』の語り口は、端切れが良く、奇想天外なストーリーは、辛口の人間賛歌に仕上げられている。「小学校初級から」と記されているが、読みごたえのある大人の読み物でもある。御一読あれ。 |