★★★★ |
2002年6月20日 初版発行 |
『猫道楽』といういうタイトルと帯の文言に釣られて購入したが、これが猫本のジャンルに入るのかどうか、判断に苦しむ。確かにストーリーの舞台は『猫飼亭』という表札のかかったとある豪邸。「猫シッター求む」という求人に応募した大学生が「猫飼亭」を訪れるが、彼を待ち受けていたのは、未知の妖艶な世界だった。猫も端々の登場するが、本書で展開されるのは、むしろ隠語の『猫』の世界。現代の出来事でありながら、大正ロマンを偲ばせる語彙、漢字使いで綴られる描写に、不思議な倒錯を覚える。ちょっと風変わりな、それでいてしっかり記憶に焼き付く一冊だ。 他の猫文学とは内容的に一線を画するが、一冊の書籍として十分に楽しめる。 |