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2002年10月10日 初版発行 |
ミラノにほど近い田舎町で暮らすことになった著者夫妻が借りた家は、築150年は経っていると思われるスペイン風の館。19の部屋と1丁目から5丁目まで広がる庭園を持つその邸宅の茫漠とした空間と、夫妻の心に滲み込んでくるような寂しさを埋めたのは、2匹の子猫たちだった。ズッケロとカピート…二匹は恵まれた空間の中を自由に飛び回り、夫妻の目と心に喜びの種を蒔いていく。夫妻の2匹に対する愛情は一枚一枚の写真に確かに写し撮られる。 本書は、写真集であり、著者夫妻と2匹の猫が共に過ごした1年8ヶ月のイタリア生活の記録でもある。写真と文は、同じテーマでありながら、別の旋律を奏でる。時にはユニゾンしながら…。それが愉しい。 イタリアの古い館の軋む音を聞き、広大な庭に降りる霧の冷たさを頬に感じながら、著者と共に2匹の猫を見守る、そんな心持ちにさせられる。 |