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まんまる おつきさまを 2005年10月31日 発行 |
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お空に浮かんだまんまるお月様。子猫には、ミルクがいっぱい入ったお皿に見えました。子猫はそのミルクを飲もうとお月様を追いかけます。でも、追いかけても、追いかけても、ちっとも近くづきません。そして…… 作者ケビン・ヘンクスの34冊目の児童書にあたる本書は、2005年のコールデコット賞受賞作品だ。絵本というと、『色』を思い浮かべる。鮮やかな色、やわらかく淡い色……その表現はさまざまだが、絵本と『色』は切り離せない。だが、本書はグレースケールで描かれている。夜空にぽっかり浮かぶ月を追いかける子猫は、花咲く庭や野原を駆け抜けていくが、グレースケールの絵の中に、月に照らし出された様々な色彩の光を見ていることに気づく。その色は、おそらく、どんなカラーの絵にも表現できないのではないだろうか。なぜなら、何の限界も制限もない、私たちの『想像』という無限のパレットが見せてくれている色だからだ。実際、本書はブラックの一色刷りなのだろうか。それともフルカラーでブラックを表現しているのだろうか。グレースケールの豊かさを、改めて教えられた。 |