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消える密室の殺人 平成13年2月25日 初版発行 |
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猫の正太郎は、同居人であるミステリー作家、桜川ひとみの急な思いつきで、上京することになった。作家先生は、編集者の手配で、高級ホテルに泊ることになったが、正太郎は、出版社で夜を過ごすことに。折しも、猫のCDブックを撮影中だったのだ。撮影場所は、金網を張り巡らせた庭の一角。大勢の出演猫と撮影スタッフのいる仮設小屋に、正太郎は放り込まれた。ここで、殺人事件に遭遇してしまうのは、ミステリー作家の猫ゆえか。仮設小屋の入口を除き、まったく外界から隔離された撮影現場。さあ、正太郎、この謎をどう解く? 密室殺人という本格ミステリーに、生い立ちや境遇の異なる多くの猫達を見事に絡ませた、楽しく厚みのあるストーリーとなっている。殺人の被害者と加害者、その動機にも、登場する猫をダブらせるという演出には脱帽だ。 密室での毒殺という犯行も、著者の生きとし生けるものへの深い愛情によって、凄惨さよりも温かさをもって描き出される。 |