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カモメに飛ぶことを教えた

1998年6月5日 第一刷発行
著者:ルイス・セプルベダ
訳者:河野万里子
発行所:株式会社白水社
定価:1500円(税別)
ISBN4-560-04653-0

ハンブルク港の猫、ゾルバのもとに、突然一羽のカモメが落ちて来る。見ればタンカーが吐き出した原油にまみれ虫の息。その最後の力を振り絞ってカモメは卵を産み、ゾルバに3つの約束を迫る。卵を食べないこと、ひなが孵るまで卵の面倒をみること、そしてひなに飛ぶことを教えること。この3つの約束を守ると誓ったゾルバは、信頼のおける港の猫たちと共に、智恵を絞り、必死に約束を果たそうとする。3つの約束を守り切ることができるか…。

人間というのは、何とも不可解じゃからなあ!ときに、最高の善意から、最悪の事態を引き起こす」…「故意に行っている悪事は言うまでもありませんな。…」

猫たちに告発される人間だが、猫たちも作者も決して人に絶望はしていない。3つ目の約束、飛ぶことを教える役割の一端を人間に担わせてくれている。そんな温かさゆえに、なおのこと胸は痛む。

「…きみのおかげでぼくたちは、自分とは違っている者を認め、尊重し、愛することを、知ったんだ。…」

ゾルバがカモメの子に語ったこの言葉に集約された『愛』が、全編を包み、私たちの心を満たしてくれる。Neco一押しの一冊。

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