猫とリスとアヒルは、仲良く一緒に暮していました。この3匹の好物は、みんなで作る世界一おいしいかぼちゃスープ。猫がかぼちゃを切り分け、リスがかき回し、アヒルが味付けをして出来上るスープです。ところが、ある日、アヒルがスープをかき回す役をやりたいと言い出します。3匹は大げんか。ついにアヒルは家を飛び出してしまいます。
自分の役割は、だれにも渡せない……リスの思いは、私たち人間にも共通する。役割をおかされると、自分の存在をおかされているような気持ちになってしまうものだ。でも、本当にそう?役割でしか、自分の存在が示せないなんて、さびしいことだ。本書は、それに気づかせてくれる。
ディテールまで書き込まれ、やさしい色合いのイラストは、表紙を開いた途端に、私たちを3匹の住むフィクションの世界に連れて行ってくれる。その中で、3匹の目の表情がリアルで、印象深い。見開きのスペースを自由に使った、構成も面白い。
訳もリズミカルで、歌のよう。思わず口ずさんでみたくなる。
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