片岡義男氏の『ここは猫の国』に取り上げられていたシリーズ。氏曰く、
社会のぜんたいに、歴史として伝統として、真の意味での余裕がいきわたっていないと、このような猫の絵本は生まれない。
この意味深長な評価に、好奇心をそそられた。『Copy Cats』というタイトルのもとに、ケースに収められた5冊の本を手に入れるのは容易ではなかった。海外のオークションで一冊一冊集めるしかない。思い掛けない高値にまずびっくり。比較的リーズナブルな値段の Crab Cat をまずゲット。だが、英国から到着した本はソフトカバーだったのでガックリ。慌てて飛びつくからこうなる。他の4冊はハードカバーであるのを確かめてビッド。一冊だけ仲間外れになってしまった『Carb Cat』のハードカバーを今も探しているが、コンディションも怪しいものが思いっきり高い!
この5冊、すべてが『もし、猫じゃなくって○○だったら…』というフレーズから始まる。その○○のところに、オウム、北極グマ、象、蜘蛛、蟹が入るわけだ。登場する猫は、5冊すべて異なる。そして、それぞれが、なぜ○○だったら、と思ったかも、最初のページのイラストに描かれている。
文は、If I were a ... , I would...という仮定法で書かれている。『仮定法』で英語が大嫌いになった人も多いだろうが、もしこれがテキストだったら、もっと楽しく仮定法を学び、しっかりと身についたろうに、と思わずにいられない。
作者 Nicola Bayley の本は、これまでにも紹介してきたが、確かに Copy Cats のシリーズこそ、彼女の真骨頂なのかもしれない。彼女の絵は、細密でありながら、言いようのないあたたかさに溢れているが、それは猫に対する愛情だけでなく、片岡氏言うところの余裕が投影されているからだろう。
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