★★★★ |
[三毛猫さくらの成長日記] 平成14年6月25日 初版第一刷発行 |
以前、猫通信で、金森さんの「ちいさな宝物」と題した写真展を紹介した。東京駅丸の内口に現れた一匹の子猫、瀕死のさくらちゃんが、ボランティアの方々やホームレスの人の暖かな手と心に支えられ、成長していく様を描いた写真展だった。このほど、同名の写真集が発行された。 痩せてはいても、さくらちゃんの視線には強い光があった。命の火は、多くの人々の手で大切に囲まれ、目の光と同じ強さを取り戻した。 そして2年、さくらちゃんは、東京駅丸の内口前の公園で、今、この瞬間もしっかりとした時を刻んでいる。 本書を通して、さくらちゃんとさくらちゃんを囲む人々の変わらぬ距離に、はっとさせられた。この近すぎず、遠すぎない距離で、猫達とつき合うことは、だんだんと難しくなっている。猫に関わる人間には100か0か、その選択を迫り、猫たちには太陽の下で暮らすことを許さない、そんな社会が、果たして豊かな社会なのだろうか。 |