★★★★ |
1996年6月11日 第1刷発行 |
絵本界最高の栄誉である「ケイト・グリーナウェイ賞」を受賞し、第二次世界大戦後のイギリス絵本の黄金期を築いた一人であるワイルドスミスの作品を、マルチ・タレント、石坂浩二氏が翻案した、ダブル・ブランドの絵本。 猫がお気に入りのじゅうたんに座っています。その大事なじゅうたんの上に、犬やら、やぎやら、牛がやってきて座ります。しまいには象までやってきて…… このストーリーは、ワイルドスミスの飼い猫、サンバルがモデルとなっている。本書では見開きで絵が描かれており、右下に原文の英語、左上に翻案された日本が載せられている。英文は、短いシンプルな文のリフレインで、絵が、猫の胸の内を見事に描き出している。鮮やかな色合い、独特のタッチで描かれた動物たちが、どれも優しく見えるのは、氏の目が優しいからだろう。 本書には、『じゅうたんは ねこのもの』の後、『しま』という作品も収められている。残念ながら猫は登場しないが、こちらも優しい心を取り戻すことのできる、優れた作品だ。 |