猫、ボタ子が見聞きした、飼い主の『おばさん』こと、阿野文子(あのぶんこ)の生活を、私見を織り交ぜながら語る。
文中の阿野文子は著者の曽野綾子さん、おじさん『裏見成平』はご主人の三浦朱門氏であろう。
全体は8つに章立てされているが、一つのエピソードから話が次々と思いつくままに流れていく、現代版『我が輩は猫である』といって良いだろう。
阿野文子やご近所の東京での生活を、阿野文子が難民の救援活動を通して見たアフリカ諸国のそれと対比しながら、現代の日本や日本人が抱える矛盾や悲哀を浮き彫りにしていく。もちろん、ボタ子の、人間と同じ命ある者としてのストレートな意見も拝聴に値する。
ユーモアの中に、問題の核心を突く、刃の光が見えるようだ。
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