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★★★★

あしたのねこ

2006年6月 初版発行
文:きむら ゆういち
絵:エム ナマエ
発行所:株式会社金の星社
ISBN4-323-07073-x
C8793

あたたかい家で生まれた5匹の子猫。しあわせ一杯だった子猫たちは、ある日、ダンボールに入れて捨てられてしまいます。愛らしい子猫たちは、一匹一匹と拾われていき、たった一匹残されたのは、やせっぽで、しっぽが曲がっていて、ガマガエルのような声でなく子猫。やせっぽ子猫は、待ち受ける災難の中にも、何か一つ『いいところ』を見つけて、明日に向って歩いていくのですが……

結末は、優しい人に巡り会い……と想像しがちだが、そうはならないところにこの絵本の真髄があるように思う。
絵と文の見事なマッチングに、作者は一人と思うほどだが、実は著名な絵本作家2名のコラボレーションだ。
全ページ、光と色彩に溢れた絵は、全盲のア−ティスト、エム ナマエ氏の作品。光は『あしたのねこ』を支える希望であり、視力を失った氏が、純粋な形で見い出したもの。
氏のHP(http://www.emunamae.com)にこんな一節がある。

失うことを恐れるよりも、与えていれば、なあんにも失わない。毎分毎秒感謝してれば、いつも幸せ間違いなし。そんな風に生きていければ、どんなにいいだろ。

まさに『あしたのねこ』の生きざまそのものなのだ。きむらゆういち氏は、このテキストをエム ナマエ氏にプレゼンとしたのだろうか。あるいは、きむら氏の生き方も『あしたのねこ』なのだろうか。きむら氏のHP(http://www1.odn.ne.jp/kimura-yuuichi/index.html)からは、この疑問を解く鍵は見つからない。一度、氏の作品をじっくり読んでみたいと思う。


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