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April's Kittens 1940年 初版発行 |
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表紙の墨絵のような子猫を一目見るなり、すでにご紹介した『こねこのミトン』を思い浮かべた方も多いことだろう。予想に違わず、本書は、クレア・ターレー・ニューベリー作の絵本で、1940年のコルデコット賞受賞作品である。 エイプリルは、ニューヨークの小さなアパートに両親と愛猫チェバと暮らす6歳の女の子。そのアパートは本当に狭く、小柄なエイプリルは未だにベビーベッドに眠るほどだ。父親は、シェバに向って「ここは狭くて、シェバ一匹で一杯だからね。いいね」と常々言い聞かせていた。ところが、シェバは3匹の愛らしい子猫を生む。エイプリルは子猫に夢中になるが、シェバを含め4匹の猫の内、3匹を里親の元に出さなければならない。さて、エイプリルは…… エイプリルの小さな胸の痛みは、愛猫家なら一度ならず経験したことだろう。エイプリルの哀しみ、痛みは、ニューベリーが描きだす子猫の愛くるしさによって、読む者の心の底に一層深く沁み入り、苦しくなるほどだ。このジレンマに毎々屈してきた私には、哀しみを受入れながら、逃げることなく解決を見いだしていくエイプリルの幼い姿が神々しく見える。 |