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						 15匹の野良猫の面倒を見ていたジュリエットさんが亡くなってしまった。 
								そのニュースに、15匹の猫たちは動揺を隠せない。 
								さあ、どうする? 
								自力で食べ物を確保する? 
								第2のジュリエットさんを探す? 
								猫たちの意見は様々だ。 
								第2のジュリエットさんとして白羽の矢が立ったのが、テディ・ベアのお医者さんだ。 
								猫たちは、お医者せんの家の塀にずらり並んで、中を伺うが…… 
						本書は『テディ・ベアのおいしゃさん』の続編として書かれた物語だ。一仕事を終えてほっとしながらも、退屈と一抹の寂しさを感じていた老人。そんな心の隙間に、入り込んできたのが15匹のおしかけ猫だ。老人の心の動きが手に取るように描かれていく。 
								 
								ガブリエル・バンサンは、線画の確かさで世界的評価を受けている女性画家で、単色デッサンの絵本、淡彩の水彩画による絵本を多数生み出している。『くまのアーネストおじさん』シリーズは世界10数カ国で出版され、高い評価を得ている。 
								私が本書を迷いなく買い求めたのも、その淡彩の絵に惹かれてのことだ。ストーリーは、『テディ・ベアのおいしゃさん』を読んでいれば、さらに味わい深くなるのだろうが、見開きの線画に始まり、全ページに描かれた水彩画は見事で、画集を眺めるような楽しみがある。訳者の今江祥智氏も 
						
							……ねこたちの表情万華鏡をとくとごらんください。 
						 
						と、書き記していが、まさにその通り! 
								生涯大切に、何度も何度も繰り返し眺めることだろう。 
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