木彫がずらりと並ぶお店で見つけた小さな招き猫。どちらかと言うと大きな作品が好きな私だが、様々な大きさ、思い思いのポーズの猫の中で、高さ4.5cmのこの招き猫に魅入ってしまった。まず、表情が面白い。口元は、犬のようにも見えるし、目は狸っぽく、額から耳にかけてはレッサーパンダのようだ。招き猫はかくあるべし、という既成概念に捕われていないのが嬉しい。出来上った猫は、ひょうきんで、眺めると思わず笑みがこぼれてしまう。笑う門には福が来るのだから、これこそ招き猫ではないか。手に取ると、そのまろやかな肌触りにうっとりする。磨きあげたツゲが与えてくれるやさしい感触だ。いつも身近に置いて、触っていたくなる。触れば触るほど、艶を増してくることだろう。細工は細かく、底の足裏に至まで、丁寧に彫り込まれている。『石川』と作者名も彫られている。この招き猫、買い込んで以来、私のバッグに収まって、いつも一緒にいてくれている。 |