猫のボンボネア
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今回は、ハルシオン・デイズのボンボネアをご紹介しましょう。
ハルシオン・デイズと言えば、18世紀のデザインと製法を甦らせたエナメル・ボックスで有名ですね。以前に取り上げたアンディ・ウォホールのエナメル・ボックスもハルシオン・デイズのものです。
ハルシオン・デイズでは、エナメル・ボックスの他に、ボンボネアも作られています。
ボンボネアは、もともとお口の芳香錠を入れる磁器製の器で、ロンドンで作られていました。中でもチェルシーのスタジオが生み出すボンボネアは、マイセンよりも優れていると言われるほどでした。
1980年代後半、ハルシオン・デイズは、ウォーセスターの小さな磁器工房と恊働で、エナメルのベースに手彩色された磁器のフィギャリンをのせたボンボネアを作り始めました。
上部の磁器は、18世紀のチェルシーの製法に基づいて作られています。
一見、リモージュ・ボックスと同じように見えますが、エナメルと磁器のコラボレーションが、このボンボネアの特徴です。
こうして出来上ったボンボネアは、今やコレクターズ・アイテムとなり、世界中のコレクターに追い求められています。
これは、アンディ・ウォホールの Sam のボンボネア。青いので、Blue Pussy かと思ったのですが、中にしっかり Sam と記されていました。上部の肌触りはまろやかで、磁器特有の冷たさがなく、一瞬合成樹脂製かと思うほどです。
250個の限定版。大切にしないといけませんね。
これは、タートル・シェルの猫をモチーフにしたボンボネア。眼差しに力があり、猫の体温が感じられる素晴らしい作品です。彩色も見事!
底に描かれた猫は、かなり肥満気味ですね。添えられた一句は、シェークスピアの『ベニスの商人』からの引用と知って、慌てて読み直しました。裁判の席でシャイロックが語った言葉です。「貸した金額の倍を受け取るより、アントーニオの肉1ポンドを要求する理由を尋ねられても答えられない。そうしたい気分だからだ。なぜ無害有益な猫が嫌なのか、確固たる理由などないように」という文脈で語られています。
シャムの仔猫をモチーフにしたボンボネアです。底には、『1870年に西欧にやって来たシャムの国の高貴な猫は、猫の究極の美と讃えられている』と書かれています。西欧諸国では、シャム猫はエキゾティックで特別な存在なのでしょう。この仔猫、お母さんと離ればなれになってしまったような、心細気な表情を浮かべています。思わず腕に抱きとってあげたるなる程です。毛並みの滑らかさ、ピンクのクッションの質感もよく表現されています。
ボンボネアは、その由来を記したリーフレットと一緒に、このように立派な箱に収められています。
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